カバー(Kabah)は、メキシコのユカタン州にある古代マヤの遺跡で、ウシュマルなどと並んでプウク式の建造物で知られる。
遺跡
カバーとは「強い手」を意味する。
形成期中期(紀元前600-300年)から定住が始まったが、政治・経済の上で重要な都市になったのは古典期終末期(800-1000年)である。
プウク地域の他の都市と同様、11世紀はじめに放棄された。
遺跡の中心部は東西に3つの建造物グループに分けられ、中央に祭祀センター、東と西に支配者層の住む宮殿があった。しかし東のグループ以外はほとんど調査・復元されていない。中央グループの神殿ピラミッドは20メートルを越えるカバー最大の建造物だが、未発掘である。
東のグループはよく復元されており、プウク式の建造物を見ることができる。とくに250個ものチャク神の仮面で覆われたファサードを持つ宮殿コズ・ポープはカバーでもっとも有名な建造物である。西のグループには赤い手の壁画が発見された建造物がある。コズ・ポープの裏手と赤い手の建物の側柱には9世紀の日付を持つ碑文をともなった彫刻が残る。
カバーから北西のウシュマルまで、約20キロメートルに渡る長い堤道(サクベ)が走り、終点にはアーチが建てられた。
調査
カバーは1843年にジョン・ロイド・スティーヴンズとフレデリック・キャザーウッドによってはじめて報告された。その後、デジレ・シャルネやテオベルト・マーラーが訪れている。
1990年代にラモン・カラスコ率いるメキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)が発掘を行った。
21世紀にはいってからはINAHのロールデス・トスカノ・エルナンデスらによる調査が行われており、この調査によって王室の台所の跡が発見された。調査によりここでニシュタマリゼーションが行われていたこと、かまどが存在したことが判明した。またメタテなどの石器や多数の土器も発見された。
脚注
参考文献
- Bey, George J. III (2016). “Kabah and Nohpat”. In Walter R. T. Witschey. Encyclopedia of the Ancient Maya. Rowman & Littlefield. pp. 189-192. ISBN 0759122865
- Smyth, Michael (2001). “Kabah (Yucatán, Mexico)”. In Susan Toby Evans; David L. Webster. Archaeology of Ancient Mexico and Central America: An Encyclopedia. Garland Publishing, Inc. p. 387. ISBN 0815308876
- Toscano-Hernández, María de Lourdes; Novelo Rincón, Gustavo Adolfo (2015). “Kabah, Maya Royal Kitchen (Mexico)”. In Keren Bescherer Matheny; Mary C. Beaudry. Archaeology of Food: An Encyclopedia. Rowman & Littlefield. pp. 280-282. ISBN 0759123667
外部リンク
- 『カバー遺跡』マヤ遺跡探訪。http://www.infomaya.jp/yucatan/kabah/index.html。
- Kabah, Architecture, Restoration, and Imaging of the Maya Cities of Uxmal, Kabah, Sayil,and Labná, http://www.reed.edu/uxmal/kabahmap.html (詳細な写真と地図が見られる。リード大学)
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