美囊郡(みのうぐん)は、兵庫県(播磨国)にあった郡。
郡域
1879年(明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、下記の区域にあたる。
- 三木市の全域
- 神戸市北区の一部(淡河町各町)
歴史
地名の由来は履中天皇が志深(志染)を訪れた際に「川の流れ(水流=みながれ)が大変美しい」と言ったことから「みなぎ」と名付けられた(『播磨国風土記』)とも、神功皇后が君が峰で休憩した際、地元から壺に入れた酒を献上したことから美壺(みつぼ)が変じて美囊(みのう)となったとも伝えられている。近世までは「みなぎ」と呼ばれた。
近世以降の沿革
- 「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。●は村内に寺社領が、○は寺社除地が存在。幕府領は谷町代官所が管轄。(2町147村)
- 慶応4年
- 2月2日(1868年2月24日) - 幕府領・京都守護職役知・旗本領の一部(久留氏知行の門前村・古市村・山崎村・熊谷村・畑枝村・安場村・二瀬川村)が兵庫裁判所の管轄となる。
- 5月23日(1868年7月12日) - 兵庫裁判所の管轄地域が兵庫県の管轄となる。
- 明治元年
- 9月23日(1868年11月7日) - 遠江浜松藩が上総鶴舞藩に転封。
- 明治2年(1869年) - 旗本領の残部(一柳氏知行)が兵庫県の管轄となる。
- 明治初年(2町147村)
- 高篠村の一部(高篠新田)が分立して高畑村となる。
- 佐野村・大柿村が合併して豊地村となる。
- 明治3年(1870年)(2町145村)
- 中石野村・上石野村が合併して石野村となる。
- 行力村が桃坂村に合併。
- 明治4年
- 7月14日(1871年8月29日) - 廃藩置県により、藩領が明石県、壬生県、古河県、鶴舞県、三草県の管轄となる。
- 11月2日(1871年12月13日) - 第1次府県統合により、全域が姫路県の管轄となる。
- 11月9日(1871年12月20日) - 飾磨県の管轄となる。
- 明治5年(1872年) - 下記の各村の統合が行われる。(2町124村)
- 明治9年(1876年)(2町116村)
- 8月21日 - 第2次府県統合により兵庫県の管轄となる。
- 志殿村・北畑村(現・三木市)が合併して殿畑村となる。
- 上和田村・四合谷村が合併して細目村となる。
- 高男寺村・池野村が合併して窟屋村となる。
- 上村・大谷山村が合併して御坂村となる。
- 大戸田村・小戸田村が合併して戸田村となる。
- 西山村が久次村に、大殿林村・中島村が大島村にそれぞれ合併。
- 明治12年(1879年)(2町107村)
- 1月8日 - 郡区町村編制法の兵庫県での施行により、行政区画としての美囊郡が発足。郡役所が三木町に設置。
- 西下村・東下村が合併して下村となる。
- 南萩原村・北萩原村が合併して萩原村となる。
- 石峰寺村・撫石村が合併して神影村となる。
- 中村が淡河町に合併。
- 明治16年(1883年)(2町111村)
- 野呂谷新田村・武士山新田が合併して新田村となる。
- 山口新田村・山崎村・熊谷村・西浦村が合併して富岡村となる。
- 宮村・吉田村(現・三木市吉川町前田)・脇田村が合併して前田村となる。
町村制以降の沿革
- 明治22年(1889年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。特記以外は全域が現・三木市。(1町10村)
- 三木町(単独町制)
- 別所村 ← 小林新田、興治新田、高木村、東這田村、西這田村、花尻村、石野村、下石野村、正法寺村、和田村、近藤新田
- 久留美村 ← 鳥町村、大村、平田村、加佐村、跡部村、久留美村、平井村、長屋村、宿原村、与呂木村
- 志染村 ← 吉田村、細目村、安福田村、窟屋村、志染中村、井上村、御坂村、三津田村、戸田村、広野新開
- 淡河村 ← 下村、淡河町、萩原村、木津村、南僧尾村、北僧尾村(現・神戸市北区)
- 上淡河村 ← 行原村、東畑村、北畑村、中山村、野瀬村、神田村、神影村(現・神戸市北区)
- 奥吉川村 ← 稲田村、奥谷村、市野瀬村、金会村、福吉村、豊岡村、東田村、楠原村、水上村、毘沙門村
- 中吉川村 ← 上松村、長谷村、田谷村、湯谷村、法光寺、山上村、渡瀬村、米田村、貸潮村、鍛冶屋村、大沢村、大畑村、吉安村、西奥村
- 北谷村 ← 上中村、富岡村、古市村、有安村、実楽村、福井村、畑枝村、上荒川村、新田村、古川村、前田村
- 口吉川村 ← 桃坂村、蓮花寺、西中村、東中村、馬場村、東村、保木村、桾原村、殿畑村、南畑村、善祥寺村、久次村、里脇村、大島村、笹原村、槇村、吉祥寺
- 細川村 ← 脇川村、豊地村、金屋村、高篠村、桃津村、増田村、垂穂村、中里村、瑞穂村、高畑村、西村、細川中村
- 明治29年(1896年)7月1日 - 郡制を施行。
- 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
- 大正15年(1926年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
- 昭和26年(1951年)3月15日 - 三木町が久留美村を編入。(1町9村)
- 昭和29年(1954年)
- 6月1日 - 三木町・口吉川村・別所村・細川村が合併して三木市が発足し、郡より離脱。(6村)
- 7月1日 - 志染村が三木市と合併し、改めて三木市が発足。(5村)
- 昭和30年(1955年)7月1日 - 奥吉川村・中吉川村・北谷村が合併して吉川町が発足。(1町2村)
- 昭和32年(1957年)7月1日 - 淡河村・上淡河村が合併し、改めて淡河村が発足。(1町1村)
- 昭和33年(1958年)2月1日 - 淡河村が神戸市(兵庫区)に編入。(1町)
- 平成17年(2005年)10月24日 - 吉川町が三木市に編入。同日美囊郡消滅。
変遷表
行政
- 歴代郡長
脚注
参考文献
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 28 兵庫県、角川書店、1988年9月1日。ISBN 4040012801。
- 旧高旧領取調帳データベース
関連項目
- 消滅した郡の一覧



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